ホールでの人生初の録音に臨む事になった私。
普段はお客様を背に本番をしているので、客席を前にするのも慣れていません(笑)
笹井さんがセッティングして下さったエコーホールはシューボックス型の中ホール。ギターの響きが一番活きるサイズです。
普段はお客様が座る場所のあちこちに様々な高さでマイクが立てられ、舞台の上も演奏者を取り囲む様にマイクがセッティングされます。
そこにギターを知り尽くした笹井さん、最大の気遣いがドンと置かれています。
さて、それは何だかわかりますか?
そう、椅子なんです。
クラシックギタリストはその演奏人生(大袈裟ではなく)の殆どを椅子の上で過ごします。
ですから腰痛は友達みたいなもので、それに苦労しないプレイヤーはいないくらいです。
ですから、椅子!
私も普段は自宅でもレッスン場所でも専用のドイツ製のものを使っています。100キロの体重のプレイヤーが身体を使って演奏しても軋まない、音がしないもので無段階に高さを調整出来ます。値段は高くとも必需品!
私の使用しているものとは違いますが、笹井さんはそうした椅子をわざわざ京都から沢山の機材と共に持って来てくださいました。
しかもクッションまで…
後に経験したことのない怪我(?)を負うことになるのですが!これが無かったらそもそもレコーディングは出来なかった程のことです。
その舞台上に楽譜、KORGのプロフェッショナル用チューナー、電子メトロノーム、爪のメンテナンス道具一式、クロス、ミネラルウォーターそして今回の伴侶72年製のロマニロス嬢をセットして音出し、サウンドチェックです。
先ずはホールの気温に楽器を慣らすのと、自分の指の調子を整える為にゆっくりとチューニングし、ルーティンの基礎練習をします。
今回は基準音楽を442Hzにして、各ポジションを出来る限り頻繁に、正確に合わせます。
ギター弾きの皆さんはご存知の通り、ギター、ギター弦は気難しく演奏中にもどんどんがチューニングが狂うので、後の編集作業の為にこれは欠かせません。
そして、サウンドチェック用に禁じられた遊びから演奏。
ホールに響くその録音を聴いた感想は…
次回に続く
[筆者:小林徹]
ジャケット写真の撮影も終わり、たった一行ではありますが9月20日発売の現代ギター10月号GGサロンコンサートの紹介ページで次回11月の予定として正式に掲載、発表されたので、コンサートの開催は決定!もう後には引けません(笑)
先日、ジャケット写真の撮影を終えて、編集部にお礼と挨拶をする為に伺うと、担当の高久さんから『先生、動画撮影はいつにしましょうか?』と、明るく声をかけられました。
『アレ?わたしもやるのかい??』なんて、言いませんがホントに私もやるの???って言うのが素直な感想(笑)ですが、覚悟を決めて敷かれたレールの上にスムーズに乗ることにして一流ギタリストの皆さんにとっては朝飯前の告知動画撮影をする事になりました。
撮影日は平日の火曜日。今回は楽器だけなので車は置いて地下鉄に乗ってお出かけ…ラッシュアワーは過ぎているとは言え、混雑した車内で大きなギターケースは他の方の迷惑になるし、やっぱり大変ですね…
予定通り10時に会場入りすると、高久さんがデジタルカメラを二台と録音機材の準備を済ませていました。
やっとアウェー感(?)が無くなって来たGGサロンの舞台に伴侶のロマニロスを抱えて登ります。
椅子と足台の高さを調整し、基準音を442にチューニングを済ませ、Dチューニングの曲から演奏していきます。
今回のコンサートではこの調性がポイントになるので、動画もそれを意識した曲を選びました。
テイクの最初は1番緊張したと言うか、大変だったカメラを見ての喋りと挨拶(笑)から、その後は正面と左前から同じ曲の同じ箇所を二回ずつ撮影、録音して編集してもらいます。
実は二台のカメラで同時に撮影するはずが、一台のカメラの調子が急遽悪くなり、一台のカメラを移動しながら二回ずつの撮影となりました。
トータル2時間弱の撮影は順調に(高久さん曰く)終わりましたが、僅か数分のPVを作るのも本当に大変な作業をして頂いているのだと改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました…
さて、どんな動画になった事やら…アップされるのが楽しみです!
※因みに左肘があたる辺りに付いているのは肘あてのグッズ。ロマニロスの様にボディが小さい楽器には保持がしやすくなり、身体との接触面が少なくなるので鳴りが良くなり、セラックなど繊細な塗装にも優しいと言う利点があります。私は今井先生のトーレスモデルでも愛用しています。
[筆者:小林徹]
柄にも無く、ソロのCDを制作する事になったのは某社長の『小林くん、何とまだCD作ってないんだって(笑)作らなきゃダメでしょ!』と言うパワハラ(ん?)が始まりでした。勿論、今流行りのソレではなく、その一言で私のおも〜い腰を持ち上げ、素晴らしいチャンスを与えてくださった次第です。
居並ぶ世界の巨匠、名手さん達を身近に感じる立場ではありますが、それ故にその人達と同じ事を自分がするとは思っていなかったので、CD制作は私のビジョンにはありませんでした。ただ、『信頼する方から言っていただいた事はすなおに信じて頑張る!』と言う教訓を学んだ私としては『お受けするしかない…か(自信なんてカケラもないけど)』と言う訳でプロジェクトはスタートしました。
このプロジェクトをスタートするに際して私が心に決めた事。
1.私がギターを通じて出会い、大きな影響を受けた音楽、人物に感謝を込めたものにする
2.全ては信頼する方々のアドバイスを受け、助けて頂く←結局は頼らざるを得ない(笑)
の、2点です。
選曲も、録音も、ジャケット制作、コンサート企画などなど全てこの方針で行く事にしました。
そして、この写真。
紆余曲折(主に自分の練習時間の確保です)を経て、レコーディングは琵琶湖の辺り、滋賀県彦根市の「ひこね市文化プラザ・エコーホール」にて5月8日9日の二日間で行う事になりました。
エンジニアは現代ギター社でもお世話になった京都、ウッドノートスタジオの笹井慎二さん。
尊敬するギタリストのお一人、故・稲垣稔さんの作品も手がけた素晴らしいプロフェッショナルです。
新幹線に今回の相棒、いや伴侶を伴いひとり旅の始まりとなりました。
この二日間は本当にハードで、だからこそ素晴らしい体験となりました…
続く
[筆者:小林徹]